岡野 貞一さん

おはようございます、2月16日です。

♪兎追ひしかの山 小鮒釣りしかの川〜♪

大正3年(1914年)『尋常小学唱歌 第六学年用』として歌われるようになった「故郷」(作詩:高野辰之さん 作曲:岡野貞一さん)です。
この唱歌の傑作は、卒業式のスタンダード・ナンバーとして、私たち子供の頃から何度歌ったことでしょうか。「兎がおいしかったのか」?「友がき」って何なのかよく考えもせず、この歌が脳裏に焼きついてきました。
でもあながち間違えではなかったのは、「兎を追う」とは、単に野山でウサギと遊ぶことではなく、ウサギを狩ることだったのです。つまり表向きは肉食を禁じていた日本人が、実は食料にもしていたのです。

この歌は今日誕生日を迎えた岡野 貞一さん(おかの ていいち、1878年2月16日〜1941年12月29日鳥取県鳥取市古市出身)の作曲によるものです。
彼は実父を幼少期になくし貧困の中で育ちました。1892年、キリスト教徒として鳥取教会(現在:日本基督教団)で洗礼を受け、翌年、岡山の教会で宣教師からオルガンの演奏法を習いました。
1892年に東京音楽学校(現在の東京藝術大学)の第二代校長である村岡範為馳さんが本人の郷里でもある鳥取で行った講演に影響され、同校に入学、後、東京音楽学校教授(声楽)となり、1932年に退官するまで音楽教育の指導者の育成に尽力しました。文部省編纂の尋常小学唱歌の作曲委員を務め、約40年にわたり東京の本郷中央教会の教会オルガニスト聖歌隊も指導)でもありました。
岡野さんのこの曲に対する思いが伝わってくるようです。